テケと出会う前、おじさんと奥さんは 犬派 だった。
犬を抱っこしたくて、休みが合う日は毎回ペットショップや保護施設を徘徊していた。
飼う覚悟が無いので見るだけである。
二人は自分達を『ペット難民』と呼称していた。
近所のペットショップや保護施設を行き尽くしたそんなある日、いつもどうり携帯でペットショップを探していると、ふと
保護猫カフェのページが目に留まった。
(たまには猫もいいか)と気まぐれで行くことになった。
その気まぐれが運命を変える事になる。
古い一軒家を改装したドリンクの無いカフェ?だ。
どこでもそうですが、自分から手を出したり抱っこするのはマナー違反だ
しかしその店では、猫の方から次々と挨拶に来てくれる。
よほどスタッフが大切に飼育して可愛がっているのだろう 人間に対して警戒心が無い子が多い。
椅子に座ると 猫の方から
「あの~良かったらお膝の上お邪魔してもよろしいですか?」
「ここ、空いてます?」
「お客さん良い膝してますねー」
と 次々と膝に乗ってきて列ができるほどだった。
当然、餓えたおじさん達は直ぐにその店の大ファンになり何度も通った。
何匹か 押しねこ″が出来た頃、スタッフに声をかけられた。
「別室に子猫が居てるから見ていく?」
白猫、サバトラ、はちわれ、それぞれ柄の違う三匹の兄弟だ。
親が見当たらず保護されたらしい。
生後一週間ほどで、片手にすっぽり収まるサイズだ。
奥さんは、白い子が気に入りずっと抱っこしていた。
サバトラはとても可愛い顔で寝ていたのでそっとしておいた。
ハチワレは…おじさんの手によじ登り、メッチャ喋り掛けてきた。
家に帰り二人は話した。
もしも三匹の中の誰かと本当にご縁が有えば、環境とか、タイミングとかが勝手にバチッと整うはずやから、そのときを待とう。
しかし次の日
奥さんが興奮気味に話してきた。
「昔、猫を飼っていた人がゲージをあげようかって!」
う・ん・め・い
「でも、あの子達、かわいいから、もう引き取られてるやろう。」
次の休みの日…
もし まだ居てたら、真剣に考えよう。
ドキドキしながらお店を訪ねた。
白とサバトラはもう、貰い手が決まっていて
はちわれだけが残っていた。
そして何やら話しかけながら、また手によじ登って来た。
白猫が一番お気に入りだった奥さんの少し残念そうな顔を横目に
おじさんは、内心喜んでいた。
そう。おじさんは、初日からこの子の術中にはまっていた
※詳しくは⇒白黒猫とおじさんと奥さん
比較的にはちわれは人気が無く、テケも例外では無かった。
特にテケは目つきが悪い。
しかし、見つめながら 必死で喋りかけるテケにおじさんは 一目惚れだった
親バカを承知であえて言おう
テケは残り物では無い。
おじさん達を待っててくれたんだ
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