もうひとつの世界

 もうこんな時間や・・
テケは太陽を横目で見てつぶやきました。

 ハッチは少し残念そうに鼻を鳴らしています。

「ハッチ、また明日。」

「うん、また明日。」

 ハッチとテケはご近所同士
こっそり抜け出してよく遊んでいる。


  「猫=ねこ=寝子」

 ネコはよく寝ているが、ただ寝ている訳ではけではありません。
 目をつぶっている間、心だけ遊びに行っているのです。

  「犬=いぬ=居ぬ」

 イヌもよく寝ていますが、目をつぶっている時、そこには居ないのです。
 そう心だけ遊びにいってるのです。

 天気(テケ)と発地(ハッチ)は、
大昔、この世界を作った空の神大地神
末裔なのです。

 でも、残念な事に二人は神様ではありません。

 二人は、少し変わった、そしてあまり役に立たない能力を持った、ただの「寝子」と「居ぬ」なのです。

 


 


二人は今日も、お気に入りの公園で遊んでいます。
今日は鬼ごっこです。


ジャンケンで鬼を決めます。

無理でした。

 二人ともグーしか出せません。
ジャンケンで勝負が付かないと気づいた二人は別の方法で、鬼を決める事にしました。

ハッチが持ってきた「ボールをどちらが早く持って帰って来れるか」
で決める事にしました。

 まずは、テケがボールを投げ、ハッチが取りに行きます。

 すぐには、投げません。

テケの得意技、じらし作戦です。

熱のこもった迫真の演技。

しかし、ハッチは知っていました。

 すぐに飽きる事を。

30分後、ボールに飽きたので、

勝負再開です。

テケがボールを力いっはい投げます。

ハッチがすごい勢いでボールを追いかけます。

素晴らしい記録です。

 しかし意識の高いハッチは結果に満足出来ません。

お願い、もう一回

 テケはハッチのチャレンジ精神に感銘を受け
ハッチの気が済むまで、付き合う事にしました。

そして32回目

 遂に

  テケは肩を壊してしまいました。

    鬼ごっごは、また今度

 ※この物語はフィクションです。

ひさG

  おじさん  兵庫県在住、まだ40代 某チェーン店で和食の調理をしている。  ある日出会った、白黒はちわれ猫の❝テケ❞と暮らし始めて 生活が変わる。  大好きな家族と幸せに暮らす為には 何が最善かを日々模索している。  

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